文庫本「ちょっと今から仕事をやめてくる」を読んで

       文庫本「ちょっと今から仕事をやめてくる」を読んで

 

     はじめに

 この本はタイトルにあるようなネガティブな内容ではないし、軽い話でもない。昨今問題となっている「働き方」や「過労による自殺」を小説風にしたものだった。内容は極めてストレートで、次の展開は分かりやすかった。そして、読みやすく、文庫本は薄いのですぐに読み切ることができた。最後の数ページだけ意味が分からなかった。ここはおまけで、本筋とは関係ないから流したっていうところだろうか。また、私は映画版を見ていないので、そちらは分からない。

     

 感想

  内容はオードッソクスである。終始あるあると頷く。結論としても、一つの意見として尊重できるものである。結論までの持っていき方も、とても丁寧である。最後の方は、はっきり言って読んでいて白けてしまった。半沢直樹シリーズで有名な池井戸潤さんのような爽快感やスッキリ感を狙ったのかもしれないが、ちょっと違うかなと思った。あそこが著者の最大のメッセージだったというのはもちろん分かった。あの場面だけ主人公が違う人物になっていた。もっと言えば人格が変わっていた。最後のあの行動力と勇気があるならば、他にも・・・といろいろと意見があるところだと思う。イタチの最後っ屁か、希望の兆しか。本当の最後まで読めば希望の兆しであったことが分かる。ただし、その本当の最後の展開・意味が私には分からなかったので、最後まで丁寧に書いて完結して欲しかった。純文学にあるような余韻、読み手に想像させることを意図していたのならば残念である。

     「働き方」以外にもう一つ、大きな軸になっているのは「友の存在」である。ここに関しては全くそのとおりだと感じ、他者である「ヤマモト」のような存在は誰しも必要であり、大事にしなければならない。

    この本を読んでよかったどうかというのは、特に得るものがあったわけではないので分からない。この本は実用書ではないし、文学本でもない。読みながら思うところはあったので、著者の意図通りに考えさせられたところがあるのは事実である。

 

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