映画「君の名は。」を観て
1.はじめに
面白かった。映画の感想及びなぜこれほどの社会現象になったのかの想像を書く。
新海誠氏の作品は、「ほしのこえ」と「秒速5センチメートル」を観ていた。
途中でネタバレを含む。
2.感想
高校生の男女が入れ替わるということしか事前情報を持っていなかった。
恋愛が軸かと思いきや、途中で想像を超える方向にあちこちととんでいき良い意味で期待を裏切られる急展開だった。
思い起こせば、それが新海氏の作品でありSF、ライトノベルにあるような展開であることを失念していたので、飽きることなく最後までみることができた。この作品はあくまでアニメーションであり、ファンタジーであった。エンディングは交わることがなく終わるのかなと思っていたが、本来交わることがない時空を超えた壮大な相糸(思)相愛が成就しハッピーエンドでおなか一杯になった。最後はあれが個人的にベストだと思う。付き合うとか、結婚したまでいくと消滅したはずの街を一つ救ったのと合わせると胸焼けを起こしていたことだろう。この作品のエンディングは好きである。登場人物のみんながハッピーになっており、観ている方もすっきりした。
また、バイト先の憧れの先輩の存在が非常に私の中では大きかった。エンディングの手前で、結婚指輪をつけていたシーンこそ、映像の醍醐味であり多くを語らずとも時間の流れを初めとした様々なメッセージになっていた。あの切ない感じが新海氏の作品であると思っている。
そして、途中で「涼宮ハルヒの憂鬱」であったり、「時をかける少女」が頭に浮かんできた。そのあたりのことを次の想像で書きたい。
3.想像
テーマソングとの作品のマッチングなどマーケティングが功を奏したのは私が言うまでもないことだろう。
ヒットした裏側にアニメファンが好きな要素がいくつも入っていた点を私は重要だと思っている。
まず、主人公は女子高生であること。ジブリシリーズでもそうだが、鉄板の要素である。
そして製作者が意識していたかどうかはわからないが、数々の名作アニメを彷彿させられるシーンがあった。
例えば、時間を行き来するのは「時をかける少女」のタイムリープを連想させるものであり、実際に過去を変えてしまっている。
「時をかける少女」のような日常の描写や速い展開があり、エンディングだけが180°変わったものという見方もできる。
また、ヒロインの三葉が髪をきって組紐を頭につけたシーンは、「涼宮ハルヒの憂鬱」のカチューシャをつけた涼宮ハルヒかと思ってしまった。過去にタイムリープしたり、記憶がなくなるのは「涼宮ハルヒの消失」で見たような展開でもあった。
他には彗星の落下、地域の消滅は、「機動戦士ガンダム」のコロニー落とし、「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」アクシズ落としや「新世紀エヴァンゲリオン」のサードインパクトを想像させられるものであった。さらに、田舎の風景などは「コクリコ坂から」や「サマーウォーズ」を思い起こした。このあたりの情景は、アニメだと似たり寄ったりになってしまうのはよくあることだ。
上記で挙げたアニメ作品はどれも名作といわれるものである。私が言いたいのは、「君の名は。」という作品にオリジナリティがないということではない。想像を超える急展開や設定を受け入れられる素養が観るほうにあったということだ。そして、それは好意的に受け入れられる素養であった。数々のアニメーションの土台があってのこの作品の大ヒットになったというのが個人の感想である。
最後に、この作品が好きなひとはまちがいなく「涼宮ハルヒの憂鬱」をはじめとしたハルヒシリーズを好きになることだろう。
閃光のクレア